かりん先生のドックトレーニング講座

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生得的行動と習得的行動

生得的行動と習得的行動
 
犬の行動は学習しなくてもできる生得的行動と、学習することで出来る習得的行動に分類することが出来る
 
生得的行動とは・・・
 
生まれつき備わっている本能的行動。生まれてすぐ出る行動と成長する過程や大人になってから出てくる行動がある。
遺伝情報によって決まってくるので犬種や血統による違いがある。
 
例)食行動、性行動
 
例えば子犬や子猫が動くものを見ると反射的に追いかけてしまうのに対し、
ねずみやポニーにはそういった行動は見られないのは
現代でも獲物を調達しようとする行動(捕食行動)
が動物の本能に深く刻まれているからである。
 
人間は本来の捕食行動を無視して数々の犬を何百世代にも渡って選択繁殖してきた。
中にはこうした本能を抑制したり積極的になくそうとする試みもあった。
それでもほとんどの犬は動くものを目で追い、追跡し、噛み付くという性質を今も失っていない。
同時に何百世代にも渡る選択繁殖を経てもなお、犬は豊かな社会性と協調性を持ち続けている。
 
選択繁殖とは・・・
 
動物の持つ望ましい性質を維持し、望ましくない性質を遺伝的に排除すること。
個体の品質を改良することを目的として行われる計画的な繁殖のこと。
 
本能を消すことは困難である。例えば犬は臭いで様々な情報を収集する。
臭いを嗅ぐことは本能なので散歩の途中で電信柱の臭いを嗅ぐことをやめさせる躾はそう簡単ではない。
 
犬の生得的な習慣の一部は人間にとっては問題行動と受け取られる場合がある。
本能的な行動全てを辞めさせようとすることは犬にとってストレスになる。
犬の本能や個体の性格を理解することが大切である。
 
〈本能〉
○探して 移動して 触れて 乳を吸う
○排泄行動(巣の近くに排泄することを嫌がる)
服従行動
○食べ物をねだる(母犬の口を舐める)
○目を離さず 見つめて 忍び寄り 追いかけ 捕まえ 噛み付き 噛み砕き 振り回す
○防衛本能
○臭い付け(マーキング)
○支配行動(資源を守る)唸る→攻撃
○求愛行動
○繁殖行動
○育児行動
 
〈まとめ〉
●特定の時期に出現する
・予防できるものは予防する
・すぐ反応できるようにする
 
●特定の環境刺激に発現する
・刺激をコントロールすることで行動を抑制する
・トレーニングをすることで行動を抑制する
 
〈犬の行動はすべて下記の動機のいずれかに当てはまる〉
●食物獲得→言うことを聞いたら食べ物をあげるよ(現代のしつけ法)
●危険回避→言うことを聞かないと痛い目に合わすぞ(昔のしつけ法)
●繁殖行動
 
〈習得的行動〉
遺伝により決定されている本能的行動と異なり習得性の行動は生得的行動(本能的行動も含む)を元にして
経験によって身につけられるもののことを言う。
経験によって身につくものなので同じ動物種、同じ品種であっても経験が異なれば
習得性の行動は個体によって大きく違ってくる。
 
例1)
梅干を口に入れた時によだれが出る→生得的行動
梅干を見ただけてよだれが出る→習得的行動
例2)
牧羊犬は羊を眼で誘導し、追い立てることが出来るがチワワが羊を見ても何もしない。
 
〈犬種別に見られる代表的な生得的行動〉
●レトリバー
レトリバーは捕食習性の最後に見られる行動でもある“物を口に咥えて運ぶ動作”を簡単に行う。
●家畜を守る犬
群れを捕食動物から守る目的で繁殖された犬は毅然として自信を持つ傾向にあり、彼らは独立することが求められた。
●テリア種など
穴掘りはテリアを含めた多くの犬種に要求された行動。
ポインター、セッター
ポインター、セッターの場合、獲物が視覚に入ると、その方向を指し示す行動をとる。
●牧羊犬、牧畜犬
捕食行動の一部である追いかけ行動と噛み付き行動にすぐに夢中になる傾向がある。
●ハウンド系など
ハウンド系や他の犬種にとっては思い切り走ることが極めて重要な行動とされていた。
 
 
 
まぁ、つまりトレーニングをする上で犬の本能である生得的行動をしっかり理解して犬にストレスなく、
習得的行動を理解して効率よくトレーニングしていこうじゃないかということです。