かりん先生のドックトレーニング講座

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古典的条件付け

◇古典的条件付け◇
 
■最初に
 
ロシアの生物学者パブロフの条件反射学説を基礎に条件刺激によって条件反応を形成するその訓練課程をいう。
パブロフは唾液分泌の無条件反射を利用して、条件刺激と条件反射の関係を研究したが、
心理学ではより広く生活体の行動としての反応を問題にするところから、条件反射とは言わずに条件反応という。
 
アメリカの心理学者で行動分析学創始者であるスキナーは生活体の反応を誘発する明確な刺激があってそれに応答する場合と、
そのような誘発刺激が必ずしも明確でないときにむしろ外界に働きかける形で自発する場合とに分け、
古典的条件付けは前者の明確な刺激への応答であるという意味で、これをレスポンデント(応答的)と呼び、
後者をオペラント(自発的・作動的)と呼んだ。
そこからオペラント条件付けに対して、この古典的条件付けをレスポンデント条件付けともいう。
 
生活体とは・・・有機的に構成された生命現象を示す物質系。人及び動植物の総称。有機体。
 
つまり、
条件反射の中で
刺激に対して応答的→レスポンデント条件付け=古典的条件付け
刺激に対して自発的→オペラント条件付け
ってことです。
 
■刺激と反応
 
古典的条件付けの手続きは一般には次のようになる。
まず、生活体にはいくつかの無条件刺激と無条件反応とのセットが何組か備わっている。
犬の場合で言えば肉片の匂い(無条件刺激)を嗅げば唾液が出る(無条件反応)というような例である。
そのセットにそれとは全く無関係なベルの音(条件刺激)を導入し無条件刺激を提示する直前にこの条件刺激を提示し、
次に条件刺激を提示するという試行を何回か反復する。これを強化試行という。強化試行ののち条件刺激だけを提示すると、
本来唾液分泌反応をもたらす力のないベルの音だけで犬は唾液を分泌する。この場合の犬の唾液分泌反応を条件反応という。
条件反応は行動の型としては無条件反応と同一であるがその強度において無条件反応より弱く、また無条件反応の場合には唾液分泌ばかりでなく
咀嚼反応や嚥下反応も伴われていることが多いのに対して条件反応はもっぱら唾液分泌反応だという違いがある。
 
つまり、
古典的条件付け→お肉の匂い⇒唾液
オペラント条件付け→ベル⇒肉⇒唾液⇒褒める(強化)
 
無条件刺激→お肉の匂い
無条件反応→いい匂いからのよだれ(咀嚼反応や嚥下反応も出る)
強化試行
条件刺激→ベルの音
条件反応→よだれ出ること(いい匂いより弱い)
ってことです。
 
■対連合
 
この例の場合条件反応は無条件反応と同じ型の反応であり、無条件反応の型はある生活体において限られているから古典的条件付けは新しい行動の形が形成されていくわけではないことになる。むしろある型の反応がそれに強く結びついている特定の刺激(無条件刺激)以外の刺激(条件刺激)によってもひきおこされるというところにこの型の条件付けの特徴がある。この場合、条件付けが成り立つのは無条件刺激に条件刺激が何らかの形で置き換えられるからである。
この犬の例では、何回かの強化試行によって両者の間に対連合がなりたったと考えられるが乳児が痛い注射を経験した時に注射をした医者の白衣が条件付けられて以後、白衣を見ると恐怖反応を示すというような場合では、強化試行は必ずしも必要ではなく一回だけの経験でも、その場の目立った特徴との対連合が成り立つようである。
 
つまり、
対連合→無条件刺激(お肉の匂い)が条件刺激(ベルの音)に置き換えられるようなこと。
たった一回でも目立った特徴があれば無条件刺激(注射の痛さ)は条件刺激(白衣)と置き換えられる。
ってことです。
 
■消去と自発的回復
 
これまで条件刺激と無条件刺激をどのような時間関係で提示するかに関する研究が多数あり、
それによればこのタイプの条件付けは条件刺激が無条件刺激に先行するかほぼ同時である場合に可能で(先行性条件付け)
その逆の場合には(逆行性条件付け)ほとんど条件付けは不可能であるという。
条件付けは条件刺激を無条件刺激と対にして提示する強化試行によって可能になるが、条件付けが成立したのち、強化試行を行わずに
条件刺激だけ提示すると条件反応は次第に弱くなり、最終的には条件反応は見られなくなる。これを消去という。
パブロフは条件反応が消去されたところで実験を打ち切り、翌日再び条件刺激を与えたところいったん消去されたはずの条件反応が
かなり回復して現れることを発見した。これを自発的回復と呼ぶ。さらに条件刺激を与え続けると、やがて再び消去され、
休止を挟むとまた若干の自発的回復がみられる。この過程が繰り返されると自発的回復力は次第に減少し、ついには完全に消去されるに至る。
 
つまり、
先行性条件付け→ベルの音をお肉出すとほぼ同時か先に鳴らす
逆行性条件付け→お肉を出してからベルを鳴らす⇒ほとんど条件付けされない
 
消去→ベルだけ鳴らし続けるとそれだけではよだれ出なくなってくる
自発的回復→休止をはさんでベルを鳴らすとよだれ出る
 
行動を完全に消去するには消去→休止→自発的回復→消去・・・を繰り返さなければならない。
問題行動も一緒ですよー!自発的回復しても諦めない!消去し続けましょう!そしたら完全に消去出来る日が来る!
 
■般化
 
パブロフはさらに条件刺激に類似した刺激に対しても条件反応が生じることを見い出し、これを般化(ジェネラリゼーション)と呼んだ。
この場合刺激の類似度が高いほど条件反応も強く現れることが知られている。例えば刺激に1000Hzの音叉(音刺激)を用いて条件付けを行った場合縦軸に条件反応の強さ、横軸に音叉の振動数を取れば1000Hzを中心に逆U字曲線が描かれる。これを般化曲線という。
医師の白衣に条件付けられた乳児が母親の白いブラウスを見て泣き顔になるのも般化による。
逆に類似刺激を弁別して条件刺激だけに反応するように生活体を訓練することも可能である。
パブロフはこの弁別実験の際にそれまで忠実に実験に協力してきた被験体の犬が落ち着きをなくして神経質になり、そのうち犬小屋から実験室に行きたがらなくなる事態に直面し、これを犬の実験神経症と呼んだ。つまり、音刺激の微妙な違いを聞き分けるという困難な弁別課題が被験体の犬にはストレスとなったわけである。
 
つまり、
般化→似ているベルの音にもよだれ出る。白衣じゃなくて白いブラウスでも赤ちゃん泣いちゃう。
般化曲線→ベルの音が似ていれば似ているほど反応強くなる。
弁別→同じベルの音だけによだれ出させる。
犬の実験神経症→微妙な音の違いなどを聞き分けさせられるとストレス。
ってことです。
 
■二次条件付け
通常の条件付けに用いられた条件刺激にそれとは異なる別の刺激を追提示するとこの新しい刺激によっても条件反応が生じる。これを第二次条件付けと呼ぶ。
ここでは先の条件刺激が無条件刺激のように機能し、新しい刺激が条件刺激として機能していることになる。こうして原理的には二次、三次と高次の条件付けが可能になる。そこから高次の精神機能を説明しようという試みも生まれたが、成功したとは言い難い。
 
つまり、
条件付けでベル⇒肉⇒よだれ
がしっかり強化されていたら
二次条件付けは
ベル鳴らして黒い箱見せる⇒よだれ
を強化して
黒い箱見せる⇒よだれ
という風に直接的なお肉を見なくてもよだれが出るシステム
ってことです。