かりん先生のドックトレーニング講座

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消去

 

◇消去◇
 
すべての行動は「行動の後で何かいいことがある」「行動の後で嫌なことが終わる」から何度も繰り返されるというのが強化の原理である。
つまり「行動の後」にこそ「行動の理由」、つまり「行動の原因」があるわけでそれを知るための方法がABC分析である。
 
一人ぼっちになると吠えるという犬の「吠え」を何とかする方法を考えよう。
正解は「無視する」である。では「何故無視をすれば治る」のか?
 
※無視をする
家を出る(入る)15分前後は構わない。無視をする。
 
まずABC分析してみると
A(原因)=一人ぼっちになる
B(行動)=吠える
C(結果)=飼い主が抱っこする
 
ABC分析を見ると「行動のあと」にある「飼い主に抱っこされる」が「吠える」という行動を強化していることがわかる。
つまり吠える原因は「飼い主が抱っこする」になる。といことはこの原因さえ取り除いてしまえば、問題は解決します。
言い換えれば「今よりひどくなることは絶対にない」ということである。
では原因を取り除いた後もABC分析してみよう。
 
「ひとりぼっちになると吠える」の原因を取り除いたあとのABC分析
A(原因)=一人ぼっちになる
B(行動)=吠える
C(結果)=無視する(一人ぼっち)
 
この原因を取り除いた後のABC分析を見てみよう。「Bの行動」の前と後が全く同じである。
行動の前後が全く同じ状態になるとこの行動は減るだろうか?増えるだろうか?
答えは「減る」である。言い換えれば「どれだけ吠えても無視だ」と学習する。こういった
「行動の前後に変化がなくその後行動が消失する」ことを「消去の原理」という。
 
消去の原理:行動の前後に変化がなく行動が消失すること
 
この消去の原理を使えば行動はなくなります。
そして専門家は「ABC分析」を行ったあと「消去の原理」を使えるかどうか?を考える。
つまり順番としては↓
 
専門家が問題を解決する順番
1、どんな行動をさせたいか考える。(目標の設定)
2、ABC分析を行う。(原因を見つける)
3、消去を行えるかどうかを考える(取り除ける原因か?)
 
そしてほとんどの問題は「強化の原理」「ABC分析」「消去の原理」で解決することが出来る。
つまり問題を解決sるのに必要な道具はこの3つ。あとはこれを応用していくだけである。
 
◇消去バースト◇
 
犬が飼い主に何かを要求した時は「無視」しよう!ということを習ってきた。
犬は結果で学習するので飼い主の反応がご褒美となっている場合無視することは1つの良い解決法である。
ところが無視することで「なくなるはず」の行動がより酷くなってしまうことがある。
これが消去バーストと呼ばれる現象である。それまで毎回得られていたご褒美が急に得られなくなると一時的に「これでもか!」と行動が爆発的に増える。そのまま無視をし続ければ行動はいずれ消えるが途中で我慢出来ずに返事をしてしまうと「これくらい呼ばないと伝わらないこともあるんだな」とより酷くなってしまうので注意が必要である。
 
◇自発的回復◇
条件刺激を与えたところ、いったん消去されたはずの条件反応がかなり回復して現れることがある。
これを自発的回復と呼ぶ。さらに条件刺激を与え続けるとやがて再び消去され、休止を挟むとまた若干の自発的回復がみられる。
この過程が繰り返されると自発的回復量は次第に減少し、ついには完全に消去されるに至る。自発的回復は一ヶ月後、一年後、十年後のように
突然起こることがある。そういった場合でも一貫した態度をとることで消去することができる。